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  • >年間1000万人を集客し、伝説となった“賑わい施設” 。「サンストリート亀戸」の思い出を振り返る④「施設とテナントの平等な関係」

たくさんの人々に愛され、惜しまれながらも閉館していった伝説の施設、「サンストリート亀戸」(通称:サンスト)の思い出を振り返るインタビュー記事シリーズ。

これまでに、サンストの元館長である会田さんや、名物スタッフの藤吉さんに話を聞いてきました。

 

昔のことを思い出しながら、終始、笑顔でインタビューに答えてくださったお二人。

サンストが大成功した理由として、「イベント」と「テナントとのパートナーシップ」の2つが挙げられるとのことで、前回は当時のイベント担当スタッフだった藤吉さんに「サンスト流のイベント運用術」について色々とお聞きしました。

前回のインタビュー記事はコチラ

 

今回はサンスト元館長である会田さんに、サンストにおける「テナントとのパートナーシップ」の在り方についてお聞きしたいと思います。

 

サンスト流、テナントとの付き合い方

–それでは、よろしくお願いします。

(会田さん)
よろしくお願いします。

 

–サンストに入るテナントは、どのようにして決められたのですか

(会田さん)

リーシングチームという専門のチームが構成を考えて決めたのですが、サンスト立ち上げの際に総合プロデュースをしてくださった北山孝雄先生(北山創造研究所)の基本コンセプトである「そぞろ歩きができる下町商店街」を実現できるように、テナントを選定していきました。

テーマとしては日常生活にちょっと利便性と憩いをプラスするということを大切にし、カジュアルな構成をベースに、出店候補社(企業や店)との協議に当たっていったのです。

特に印象的だったのは、「トイザらス」が都内初出店をサンストに決めてくれたことですね。この辺りから一挙に各社との出店交渉が進んだと思います。

 

–地元の商店街との軋轢などは大丈夫でしたか?

(会田さん)

もちろん、既存商店街への影響などは心配されました。 地域初の大型商業施設開発でしたので、町が大きく変化してしまうことや、交通混雑など、ネガティブな要素をイメージされたのかと思います。

しかしながら、サンスト開業後は年間1000万人の来街者による様々な波及効果があり、事前に心配されたデメリットなども特になかったんです。亀戸にたくさんの人が来ることで、みんながメリットを受けることができたんですね。

商店街を含め、周辺地域の皆様からは大きなご支援、ご協力をいただけるようになりました。

 

–素晴らしいですね!テナントとの付き合い方についてはいかがでしたか

(会田さん)

私たちデベロッパー(土地開発業者)がテナントとどう付き合っていくのか、素人なりに色々と考えた結果、導き出した答えが「イコールパートナー」になるということでした。大型商業施設とテナントの関係性でいうと、大家と店子というタテ関係ではあります。しかし、デベロッパーにとって第一に考えるべき相手、第一に考えるお客様は、施設への来場者ではなくテナントなんです。

テナントなくして顧客(来場者)満足にはつながらない。テナントを大切にし、テナントの不満や悩みを解消しなければ、結果的に喜ばれる商業施設にはなりえないと思ったんです。

そこで私たちに問われたのは、テナントに対するサポート力だと思いました。

 

テナントを全力でサポートしたサンスト流のパートナーシップ

–イコールパートナーとはどのような考え方なのですか?

(会田さん)

常に「お互い様」という気持ちで接するということです。私たちは施設の運営に関して、常に平等という気持ちを大切にしていました。施設運営側とテナントは上下関係ではなく、水平な関係という考え方です。これはテナントだけではなく、各協力会社、イベント出演者、地域住民の方々、すべての関係において通用する考え方で、サンスト流の原点となるものだと思います。

例えば、サンストに出店して売上が伸び悩んでいるテナントがあるとすれば、その悩みをすぐに共有して、解決に向けて共に動き出さなければいけません。困ったときはお互い様だし、テナントの悩みは私たちの悩みです。

そのため、細かい話ではありますが、私は施設内を歩く時やテナントを訪れて話を聞くときに、ネクタイをしたり、スーツを着たりしたことがないんです。それは「上も下もない平等な関係性を築きたい」という気持ちの表れなんですね。

 

–そうだったのですか。ちなみにテナントをどのようにサポートしてきたのでしょうか

(会田さん)

例えば、売上が低迷している靴店がありました。不振原因を分析した結果、店の認知度不足が判明したんです。

そこで、私たちで手配り用のチラシを印刷し、スタッフ総出でチラシの配布を行いました。さらに広場を活用して、靴店のワゴンセールを行い、店の認知度向上を図ったり、時にはスタッフが客のフリをしてしばしば店に足を運ぶなどの小技を使ったりもしました(笑)

そうした結果、次第に靴店の認知が向上し、お客様も増えて店内に活気がついてきたんです。店側もモチベーションが上がり、サービスの質が上がって売上が倍増するようになったんです。この段階で私たちも少し手を引くと、今度はテナントが主体となって行動をするようになりました。あとはそっと見守り、また何か課題が見つかればフォローをする。

こういったサポートをすべての店に対して行ってきたんです。

 

–すごすぎる。めちゃめちゃ地道な努力をされてきたんですね

(会田さん)

当時は10店舗につき担当スタッフを1人つけていましたが、1店舗ずつをなるべくきめ細かにフォローできるような体制をつくっていました。時には、特定の店に集中的に入り込んで立て直しをする。その店で扱っている商品、ターゲットから、お店のスタッフが考える気持ちまでを読み取り、すべての状況を理解した上で数値を読む。

そこまでしないと、本当の意味でデベロッパーは務まらないと思うんです。テナントからはよく、「ここまでやってくれる施設は珍しい」なんてことを言われましたが、サンストでは普通のことです。

余談ですが、こういった施設には通常、テナント側の関係者が集まって意見をまとめ、代表者が施設側に意見や要望をぶつけるような組合ができたり、そういったシステムができるのが普通だと思います。サンストにも「運用責任者兼テナント会長」という役割がありましたが、そこに就任したのは結局、テナント側の人間ではなくサンスト側の人間でした。テナントからすれば、「これだけ色んなことをやってくれるんだから任せたい」という思いがあったのだと思います。

 

答えは日々の現場の中に

–それにしても、会田さんも藤吉さんも、とても施設運営の経験がない素人とは思えないですね

(会田さん)

素人だから、良かったんですよ。

施設運営を成功させるための答えは、事務所での会議の中には無かったんです。答えは常に現場にある

事務所でスーツを来たまま、机に向かって数字と睨めっこするような仕事ぶりでは、とてもサンストは運営できなかったと思います。まず外に出て施設内をお客様の目線で見回り、お店のスタッフと会話をし、イベントでは汗を流す。常に現場に意識が向いたまま、日々を過ごしていくことで、初めて見つけられる答えがあると思うんです。

 

–会田さんの経験から、施設運営で一番大切なことはなんだと思いますか

(会田さん)

「賑わい」だと思います。人が集まるためには人を惹きつける磁力が必要ですが、そのために快適な環境づくりや、質の高いイベント、サービスの良いテナント、スタッフなどの要素が必要です。

それに加えて、なんといっても「実際に人が集まっているという事実」が何よりも強い磁力となります。サンストでは、その日に何も購買しなかったとしても、施設に訪れていただいただけで、ありがたいお客様なんです。賑わいの景色を一緒に作ってくださった方々を、大切にしたいという観点がありました。

何も用事がなくても、とりあえず広場に来てくれる。サンストが街機能・生活機能として定着し、亀戸の町の人々に愛される施設になっていったことを、何よりも嬉しく感じています。

 

–素敵なお話、ありがとうございました!

(会田さん)

こちらこそ、ありがとうございました。

 

今後もサンストに関するエピソードは発信していきます!

伝説となった商業施設、サンストリート亀戸。

その運営に携わっていた人の話を聞くと、やはり当時としては斬新な取り組みも多く、スタッフの方々を初めとして、たくさんの人々の協力や惜しみない努力がベースとなって成り立っていた施設なんだということがよくわかりました。

今でも、多くの亀戸住民や施設を訪れた方々の思い出として輝き続けているサンスト。かつてサンストがあった場所は今、新しく再開発が行われています。時代と共に町の姿は少しずつ、変わっていくのでしょう。

しかし、時代はどんなに変わっても、人は平等であると。困った時には助け合い、協力をしていくことでみんなが喜ぶ結果につながるという考え方は、いつまでも変わらないものなんだと改めて思いました。サンストを通じて、そんなことが学べたインタビューになったかと思います。

今後もカメイドタートルズでは、サンストリートにまつわるエピソードなどを発信していきます!

Edit by カメイドタートルズ編集部